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たかが数字、されど数字


石原慎太郎さんの書かれた「天才」は、総理大臣就任当時には今太閤と呼ばれ絶大な人気を誇った田中角栄さんの人生を描いたお話です。青嵐会を立ち上げた石原さん自身が、永年宿敵と見なしていた政治家を賛美したこと、且つ一人称で描き出すという手法が話題になりました。

田中角栄さんの逸話は枚挙にいとまがないところですが、私が印象に残っているのは、街頭演説等でやたら記憶力がいいところ。地元に帰った時の演説会で「どこどこの誰かさんの嫁さんのお父さんがどうのこうの」とやるもんですから、地元の有権者は胸がドキューンと撃ち抜かれる、そんなお話しは有名です。

それ以外に私が感心したのは、本日の文脈に通底しますが、数字にやたら強いところ。霞が関相手に政策を押し通してきた手腕は「コンピューター付ブルドーザー」という異名通りの辣腕ぶりでした。

さきほどの記憶力の話や、数字の話なんかは、早坂茂三さんをはじめとする秘書の方たちが、「おやじがこういうことを聞くから予め調べておこう」と先回りをして、車の中でレクチャーしていたのも有名な話です。早坂さんと同じ昭和5年生まれで懇意にしていただいていた私の父から聞いた話ですから本物です。

「KKO」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?「勘と経験と思い込み」のみで、ろくに数字的な根拠なしに事業を進めるような行政の仕事を揶揄した言葉です。国レベルではさすがにないと信じたいですが、地方自治体レベルでは、おうおうにしてよくあるみたいです。それにくさびを打ち込んだのが、内閣府主導で地方創生のために体系化したRESAS(地域経済分析システム)。数年前の話ですが、私の地元の伊藤達也内閣府補佐官が石破さんをたきつけて実現させたものです。要は世の中に有象無象にたくさん存在しているビッグデータを、スイッチポンでグラフ化するという超便利ツールです。

こうしたツールは、使うことが目的ではありません。それを使いこなして論拠のある政策立案や経年変化を検証したり、自治体同士で相対的に比較したり、仮説検証したりして、はじめて役に立つものです。要は使う人の気合と根性でどのようにも使うことができます。一番いけないのは「食わず嫌い」だと思います。。

今回、市議会の一般質問を作成するにあたって、さいたま市にある経済産業省関東経済局の皆さんにRESAS解析のご協力をいただきました。

数字があれば、なんとなく人は納得するんじゃないかという下心からです。

ひとえに「数字の論拠があって、初めて人は納得する」という、民間企業では普通のことを、なぜ行政は忌避したがるのかも、結構フシギです。数字だけが全てではありませんが、数字で納得性を担保するという客観的な手法もコミュニケーションでは極めて重要だからです。

田中角栄さんみたいな稀代の天才にはなかなかなれません。それでも今の時代、ICTを使いこなせば、近い線まで行くかもしれません。「食わず嫌い」を改めさえすれば、結構便利な世の中なのになぁ、なんてことをあの世で角さんは思っているかもしれません。ヨッシャヨッシャ@@



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